猫の山田の物語〜ネコのヤマダのものがたり

(ひだり)()は、
児童(じどう)クラブに(つと)めていた(とき)
小学2年生の(おとこ)の子が
「やまだ」の写真(しゃしん)を見て
()いてくれました。
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(ねこ)
山田(やまだ)には、東京(とうきょう)にいる(ころ)三軒茶屋(さんげんじゃや)の「N(エヌ)フラット」105(イチマルゴ)号室(ごうしつ)台所(だいどころ)でバッタリ()った。
サッシの(まど)()けていたので、ひょっこり(はい)って()たみたいで。

台所へ()った(わたし)見知(みし)らぬネコ。
ネコはビックリして(あわ)
てて出て行った。

“。。。。。ネコが。入ってきてた”

(うれ)〈しくておもしろかった。

それから。

時々(ときどき)見かけるようになって、私も(こえ)をかけて(した)しくなろうと(つと)
めた。
最初(さいしょ)警戒(けいかい)
してビクビクしていたけど、
少しずつ、近付(ちかづ)いてくれるようになって。
数日後(すうじつご)()をなめてくれた。

その()
パタリと姿(すがた)(あらわ)さなくなった。
首輪(くびわ)はしてなかったし。
()
(ねこ)ほど()れてはいなかった。
()て猫か。(まよ)いネコか。野良(のら)にしては、ちょっと()(ゆる)しすぎ。

姿を見なくなって、およそ1週間(いっしゅうかん)経過(けいか)した。

ある(あさ)

()きて、いつものように台所(だいどころ)のカーテンを()けようとして。

そのネコが“()る”と(おも)った。
理由(りゆう)()らないけど、根拠(こんきょ)
のない確信(かくしん)
(そと)に、この部屋(へや)目的(もくてき)にして()っているのが(かん)じられた。

“まさか?”

カーテンを()ける。

ネコが。
ベランダの洗濯機(せんたくき)の上に、こちらを()いてまあるくなって()っていた。

サッシの(まど)を開けると、にゃ〜と()いて、
洗濯機から()りて、そのまま部屋(へや)台所(だいどころ))に(はい)ってきた。

その日以来(いらい)、このネコは「N(エヌ)フラット」の105(イチマルゴ)号室(ごうしつ)()()いた。

「ニャーちん」と()びかける(わたし)に、
当時(とうじ)のパートナーが、そんな呼び方では大家(おおや)にバレるぞと()う。
ネコ(ペット)禁止(きんし)だったからね。

(はな)しあって、「山田(ヤマダ)」と呼ぶことにした。
“山田”なら大家さんが(とお)りかかっても
友達(ともだち)の山田が()ていると(おも)うだろうという、見事(みごと)浅知恵(あさじえ)


っつーかね、この「N(エヌ)フラット」では。
上からは(いぬ)()(ごえ)がするし、(となり)部屋(へや)では(まど)にもたれるネコの姿(すがた)が見えるし。
そんなところだった。


その、山田。入って来た(ころ)()まれて1年半(いちねんはん)くらい経過(けいか)した様子(ようす)だった。
子どもだけど、ある程度(ていど)大きくなっており、
人間(にんげん)で言えば少年(しょうねん)(おす)
でしたから)くらいだったと思う。

それから9年くらいを(とも)()ごし、その(あいだ)に山田の(あるじ)
結婚(けっこん)離婚(りこん)をした。

その()山田は知民(ちみん)
(とも)宮崎(みやざき)へ。

1年くらい過ごした(ころ)突然(とつぜん)姿(すがた)()した。

少し、遠出(とおで)したかなぁ...。
知民は山田が(かえ)ってくるつもりでいた。

山田(ヤマダ)は。
帰って()なかった。

当時(とうじ)、「学童(がくどう)児童(じどう)クラブのこと)」に山田を()れて行って、子ども(たち)紹介(しょうかい)したことがあった。
山田は迷惑(めいわく)
そうだったけど、子ども(たち)大喜(おおよろこ)びで。

なので。
子ども達は山田を()っており、時々(ときどき)「やまだは元気(げんき)?」と()かれていた。
山田がいなくなってから。
「せんせい、やまだ、げんき?」と聞かれた。

ズキンとした。

()()ったことを(つた)える。

しばらく日が()つと、また聞かれる。

「せんせい、やまだ(かえ)ってきた?」

ズキンとする。

「もう、帰ってこないと(おも)うよ(ニコリ)」

サラッと答えながら、ズキンとする部分を、ずっと、奥の方へ押し込めて
その後は誰に何を聞かれても、平然としていた。

ある日。

(いえ)からずいぶん(はな)れた場所(ばしょ)で、山田にそっくりの(ねこ)()かけた。
友達(ともだち)一緒(いっしょ)だったから「ごめん、ちょっと()ってて!」と言って、(いそ)いで(あと)()った。

あの、(かど)()がった!......(わたし)も角を曲がって見たけど、もう(なに)も見えなかった。

山田はどこかで(あたら)しい生活(せいかつ)をしているのかもしれない。
あれは、山田だったかも。
そんなふうに、友達に(はな)した。

あれから数年(すうねん)

数日前(すうじつまえ)から、(くるま)運転(うんてん)していたり、たまたま()にしたテレビ番組(ばんぐみ)などで、
やたら「やまだ」という文字(もじ)言葉(ことば)連続(れんぞく)して見たり()いたりするようになって。
(なに)か、ある。と、用心(ようじん)はしていた。
潜在意識(せんざいいしき)からのメッセージ。


2月(にがつ)8日(ようか)。セルフヒーリングで、それは浮上(ふじょう)した。

山田がいなくなって、本当(ほんとう)はどれほど(さび)しかったか。
どんなに(かな)しかったか。
人に聞かれたり、やまだの会話(かいわ)()(たび)(なん)でもないふりをして。
その度に、(つら)気持(きも)ちを(おく)へ奥へと()()んだ。
その日、それまで奥へ押し込め(つづ)けて()た気持ちが一気(いっき)流出(りゅうしゅつ)した。

そして。
今頃(いまごろ)
ようやく、山田はもう(もど)らない(こと)()()れた(()った)。
そんな事、(あたま)では分かっていた(はず)
なのに(笑)

なみだがでる。

山田に()いたい。会いたい。会いたい。
たかが(ねこ)って言う?

人間(にんげん)動物(どうぶつ)植物(しょくぶつ)か、そんなふうに見た目で()けてその価値(かち)順位(じゅんい)()けられない。
大事(だいじ)なのは、その人にとってどういう存在(そんざい)だったか。

山田がいなくなって。
(さみ)しくてたまらなかった。
本当(ほんとう)はものすごく(かな)しかった。
山田のこと、()かれる(たび)(くる)しかった。

まだずっと一緒(いっしょ)()らしたかった。
私は。()りてない。
本当は、寂しくてたまらなかった。

セルフヒーリングで解放(かいほう)された(さみ)しさが、やっと自由(じゆう)になった。
理解者(りかいしゃ)(山田)を(うしな)った(かな)しみも(そと)(なが)れだし、自由になった。

寂しさも、悲しみも、(なみだ)になった。

そろそろ....というか、ようやく山田を卒業(そつぎょう)するのだ。
そう言えば、これから卒業シーズンだ。
ちょうどよいタイミング。


20070210【02:37】



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